その昔、プロレスラーのマサ斉藤さんがアメリカ人レスラーのスコット・ノートン選手をスカウトして日米で人気を博すレスラーに育てました。
アームレスリング世界チャンプという人ではありましたが、荒くれ者です。
そんなノートンがレスラーとしてデビューした時に、「お前はもうプロなんだから素人には絶対に手を出すんじゃない。」と厳命します。
ある時バーでノートンがチンピラに絡まれていましたが、とにかく我慢し続けていました。
どこからともなくマサ斉藤さんが現れてチンピラをボコボコにしてしまいます。
その時ノートンはあ然としましたが、この人に一生ついて行こうと思ったそうです。
それと対照的なのが看護業界です。
看護師はあらゆる方向からハラスメント、暴行暴言を浴びる事が多くあります。
そんな時に上司なんかから浴びせられる言葉で多いのが「あなたの対応に問題はなかったの?」です。
暴行や暴言を受けて心配されるより先に、まずこれです。
それと無茶苦茶なイチャモンと言っても良いようなクレームで心を削られる事も多いとは思いますが、上司が謝罪を強要する事も多くあるかと思います。
一番酷いのが対応した看護師をキチクレやモンクレへの生贄に差し出して、上司が逃げるパターンです。
何故マサ斉藤さんの話を持ち出したかと言うと、「部下を守る」姿勢の違いを言いたかったのです。
プロレスの世界は一般人には想像もつかないような「いかがわしい」世界なのですが、その中にあって「筋を通せる人」というのはやはり人望は篤いのです。
それに引き換え、安心安全が何より必要なはずの医療や看護業界にあっては、部下を守る姿勢があまりに乏しいのと、上司と呼ばれる人達に人望が篤いと言われる人達があまりに少ないのかと思います。
そうした中では信頼関係が構築されるのはとても難しいのではないのでしょうか。
特に看護部長をはじめとする看護部と、現場の信頼関係のなさがそれを物語っているように思います。
その信頼関係のなさはどこかの組織だけの特異な話ではなく、業界のある意味スタンダードにさえなっています。
そしてそれがここ最近音を立てて進んでいる現場崩壊とも密接な関係があるのでしょう。
看護部長がマサ斉藤さんと同じ対応をしたらそれはそれで問題ですが、「部下を守る事」と「筋を通す事」が当り前できて、職場の信頼関係が上手く築ける業界であったなら世の看護師達はもう少しマシな世界線でいきられた気がします。