看護師の資格があるとは言っても、子育てや介護、その他の理由でいったん医療の現場からはなれてしまうと、次に看護師としてはたらくとき、その自信や勘を取り戻すのに時間がかかります。看護師として働いてない期間、いわゆるブランクが長くなればなるほど、その傾向は強くなります。車の免許で例えれば、ペーパードライバーの時間が長いと次に運転するときに、必要以上に怖くなってしまうのと同じことです。
そんなブランクを経験した看護師が、また復職する際に介護施設を復職先として選択するケースが増えているようです。理由は、介護施設の方が高度な看護師術を必要とせず、またバタバタと忙しいわけでもないので勘を取り戻すのにちょうどいいし、シフトが緩やかで働きやすい、というものだそうです。
しかしながら、もともと看護師として介護施設で働いていた経験があるのなら話は別ですが、ブランク後の復職で介護施設を第一選択とするのはあまりお勧めできません。その理由は、施設では看護師のブランクをあまり考慮してくれないことが多い、ということです。
例えば、看護師として5年働いて子育てのために10年間ブランクがあったとします。ブランクが10年もあれば知識も技術もほとんど忘れているに等しいわけですから、それなりに勉強が必要になりますし、仕事に関してもある程度時間が立たないと看護師としての機能が果たせないはずです。けれども、施設では入職したその日から看護師として頭数に入れられますので、ブランクがあろうがなかろうが即戦力として期待され、資格があるのだから年齢だけでベテランとみなされることが多くなります。
また、施設の看護師の業務は、施設利用者の健康管理や異常の早期発見と対処が主になりますが、看護師としての自信や勘が戻らないうちに、細かな健康状態の把握や何かあったときの対処や判断をするということは、非常に難しいことですし判断ミスが起こらないとも限りません。
復職したばかりの緊張もある中で、ミスをしないようにといつも精神的に追い込まれている状況は、仮にも良い状態であるとは言えません。
看護師として復職をするのなら、多少忙しくても病院と名のつくところを選択した方が賢明でしょう。ブランクについても理解がありますし、病院によっては復職支援を行っているところもあります。研修やセミナーを行った上で、実際の業務に取り組むことができるので、いくらブランクがあっても安心です。
忙しいのが嫌で、あるいは時間の融通が効かないのが嫌で病院を避けてしまうのかもしれませんが、介護施設よりは復職に理解のある病院の方が、いろいろな意味でずっと働きやすく感じるはずです。
今日の部屋持ち:onoi