老健と他施設との連携にはいろいろな場面が想定されます。
通常は病状が安定している利用者が多いのですが、時には突発的な病気や事故が起こることがあります。
老健では専門的な、あるいは本格的な治療はできませんので、近隣の医院を受診することになります。
例えば耳鼻咽喉科や眼科、整形外科などです。
しかし認知症状が強かったり、寝たきりで拘縮があるなど老健では普通に生活していても、一般の人が多く訪れ混雑しているクリニックなどでは診察や検査に時間を取られるために迷惑に受け取られる場合もあります。
ですからあらかじめ理解を求めるための説明や協力体制を整えていく作業も必要です。
骨折などで病院に入院するときには施設は一旦退所という形となります。
高齢者を受け入れる病院側にとっては、退院後の施設確保が苦慮されることから受け入れに消極的になる場合もありますが、短期入所が多い老健では、居室の調整がしやすいため退院後には同じ施設に戻ることが可能です。
利用者や家族にとっても、別の施設よりも見慣れた職員に介護されたいと考えるケースも多く、老健と病院間の流動性が柔軟になるように地域病院との関係性も重要となっています。
在宅への復帰を目指す際には、かかりつけ医や訪問看護、デイサービスなど地域の包括支援サービスを十分に活用できるように、ケアマネジャーが中心となって動きます。
看護師は施設に入所中の利用者の状態や注意点、必要なケアなどをサマリーにまとめ情報を共有することによって連携を図ります。
また在宅ではなく特養や有料老人ホームなどへ移るときにも、詳細な情報を伝える必要があります。
老健が地域に慣れ親しんだ施設として存在していくためには、施設の行事に地域住民を招いたり、逆に地域の行事に参加するなどオープンな関わりが重要です。
老健の利用者はともに地域に暮らしている住人として認識されることで、様々なメリットがあります。
例えば認知症の利用者が施設外で迷子になった時に施設に連絡をしてくれたり、近隣の公園に散歩に出た時には気軽に声をかけてくれるといったことです。
こうした地域連携がうまくいけば、社会全体で福祉を支える体制になっていくはずです