そもそも、ICUってどんなところ?
ICUとは集中治療室(Intensive Care Unit)のことを言い、重傷な人や全身管理が必要な人の看護を24時間体制で行う場所です。
病院によっては、ICUの役割が異なっていて受け入れる患者さんの疾患が違っていたり、ICUが細分化されている施設もあるのかもしれません。
私が所属していたのは、主に大手術後の患者さんや、院内急変の患者さん、人工呼吸器管理が必要な患者さん等でした。ERの患者さんは含まないため、一般的には、General ICUというのかもしれません。
配属当初、1年目の苦労
ICUに配属されて、不安もありつつ、ICUで働くなんてなんかかっこいいという不純な気持ちでいた私ですが、実際に働き始めると、想像以上に仕事がハードだったんです。
まず、なにより勉強。看護学校にいた頃は、どこの学校でも基本的な看護技術は教わると思います。おそらくどの部署でもそうだと思いますが、そんなものじゃ全然足りないんです。
私の場合、入職前から心電図くらいは読めるようにしよう、と思っていて自分で勉強して居たのですが、他にも使う機械も沢山あるし、数字も沢山出てきて、何が基準値だか、なにが正常なのか、混乱しすぎてあんちょこを見なければ頭の中で全く整理が出来ない様な状態でした。
機械は機械で仕組みから働きから使用に伴う弊害まで全て理解した上で使用するので、最初の頃は使うのにもビクビクしていました。
恐らく、私が勉強したノートも5冊以上になるのではないでしょうか。仕事が終わってからも勉強、休日も勉強、本当に休む日もなくて大変でした。
次に人間関係。ICUも、チームワークで動かなければならないので、先輩と関係性を築かなければなりません。
先輩の顔も名前も一致しなくて、誰が誰だか分からなくて、頼み事をするにも気が引けるし、気を遣う事が多くてひたすら疲れていました。
怖い先輩がリーダーの時には数日前から眠れなかったり、なんてこともありましたし、叱責されてトイレで泣いたなんてこともあります。今思えば、一年目って本当に大変でした・・・
患者さんとの人間関係も正直悩みました。ほとんど1日一緒に居るわけで、患者さんのキャラクターに合わせて看護をしなければならないので慣れるのにも時間がかかりましたし、そもそも何を話して良いのか分かりません。
状態が悪い人だと尚更です。対応も、一人ですることが多いので、質問されてこちらが戸惑ってしまうと不信感を与えてしまいますし、治療に差し障るようなことを言ってしまってもいけないので、本当に発言に注意をしなければならず、気疲れの毎日でした。
医師の中にも優しい人もいれば横柄な態度をとる人もいます。優しくて話しやすければ良いのですが、威張っていたり声をかけると不機嫌な態度をされたりすると、どうしても声をかけづらくなってしまいます。そうすると、なかなか指示を出してもらえずに先輩に怒られてという、悪循環に陥ったこともありました。
他にも、物品の位置が分からなかったり、何の物品を使って良いか分からなかったりと、働き始めの頃は分からないことが沢山ありましたが、少しずつ経験して勉強して、どうにかこうにかやっていけるようになりました。
ちょっと仕事がわかってきた2年目
2年目になると、後輩が入って来るので、先輩の目が自分たちから離れやすくなります。頼られ始めたかなぁなんて思うのと同時に、目が離れる事でとてつもない不安が襲ってきます。
今思うと、自分が一番インシデントを起こしたのは2年目かもしれません。
常に私のほうを気にしてチェックしてくれる人がいなくなると、どうしてもミスを起こしやすくなります。
また、「後輩が入ってきたんだから、追い抜かれないようにね」というプレッシャーも先輩から与えられます。そんな中でも、1年目よりも量は減ってきますが、勉強はしなければなりませんし、受け持つ患者さんの疾患も多くなりますし、重症度も高くなります。
でも、それも自分を信用して受け持たせてくれているので、それに答えようと必死に勉強しましたし、先輩にも沢山質問しました。
逆に1年目の子からは、2年目看護師が一番話しかけやすい様に思います。そのため、1年目から質問されることも多く、一緒になって勉強した記憶があります。
後輩も入った3年目以降。でもまだまだ自分も勉強中
3年目になると、自分の患者さんだけでなく、周りも見えていなければなりません。自分の患者さんが落ち着いていても、他のところでバタバタしていればフォローが必要ですし、それが出来るようになるには、どこで何をしているのか、何が必要なのか、その患者さんはどういった疾患なのか、など把握しなければなりません。
しかも、自分からではなくて、先輩から頼まれることも多くなります。病院によっては、リーダーをとることも出てくるのでしょうか。
疾患の勉強も落ち着いてきたなと思っていたら、今度は病棟内の勉強会の準備をしなければなりません。
なんだかんだ3年目になっても勉強しなければならないことは沢山ありますし、休日出勤も多いですし、落ち着かないんです。
それでも、医師や他の職種の人との関係性は築けてきて、自分から意見を言って採用される事も多くなってきます。
そうすると、認められたなとも思いますし、やる気も出てきます。また、患者さんへの接し方や、ケアの仕方にも自分から工夫してやれるようになって、患者さんとの関係性も築けるようになります。
まとめにひと言
他の病棟に比べたら、使う物品も、やることも、看る疾患も多いので、勉強することも多いです。関わる人も多いので、人との接し方も学ぶことが多いです。
でも、その分、後々になってとても役に立ちます。私はまだ経験をした事がないのですが、ICU病棟から他の病棟に移った看護師はとても役に立つと聞いたこともあります。
もしかしたら、個人差があるのかもしれませんが。1年目から大変な事は沢山ありますし、辞めたくなることも出てくるかと思いますが、出来るだけ長く続けるととても良い経験になるので、ストレスをためないように少しずつ発散するようにして、出来るだけ長く働けるといいのかなと思います。