脳神経内科で働くにあたって困らないためには、まず脳神経の構造と機能についてしっかりと身につけておくことが重要です。
消化器系に比べれば範囲は限られてはいますが、何といっても多くの神経とそれに関連する機能や支配網はとても複雑です。
脳梗塞や脳出血は障害の部位や程度によって、麻痺などの症状の出具合が変わってくるので、画像などから判断できるくらいの知識も必要となります。
脳神経内科で適切な治療や看護ケアがなされるためには、情報収集とそれに対するアセスメント力は必須です。
特に生命維持に関わる重要な症状として意識障害がありますが、看護師は正確に病態を把握し今後どうなるかまで予測し迅速に対処できる能力が求められます。
意識障害のように自分で訴えられない患者さんも多いため、注意深い観察や患者さんへの関心から必要なニーズを考えケアに繋げられるかどうかも大切な要素となってきます。
また疾患によって運動障害や感覚障害が生じます。
そのような患者さんに対して何でも援助してしまうのではなく、自律を意識した支援まで考えられるかも重要です。
やむを得ず障害が残ってしまった場合には、それを受け入れて生活していかなければなりません。
入院中には他職種と協力して、残存機能をできるだけ引き出しセルフケアを支援していく関わりが必要となります。
リハビリの意欲が高まるような声掛けや、できた事を認める声掛けなどといったコミュニケーションスキルは、職場のスタッフ間のより良い関係性を築く際にも必要です。
自分の発する言葉が相手にどのような影響を与えるかを意識して会話することが好ましいのですが、意識するあまり却って無口になったのでは元も子もありません。
ですから自己の接し方を後から振り返り考える作業をしていくことが大変重要なのです。
脳神経の疾患では合併症や二次的障害によって、肺炎や関節拘縮・委縮、転倒、褥瘡、廃用性症候群を引き起こすことが多く、寝たきりになったり経過が長くなるなど予後に影響を及ぼします。
そのため特に重要となるスキルは観察力と言えます。
何も考えないで観察した場合と、予測まで踏まえた目で見る場合とでは見え方や気づきに大きな差が出ます。
従って日頃から異常の早期発見と予防を意識したケアの実践が必要となります。