老健にいるほとんどの利用者は様々な疾患を抱えています。
病院のように専門科目に分かれているわけではないので、全科に渡る幅広い知識が必要となります。
特に多い脳梗塞や脳出血、心疾患、糖尿病、肺炎などの疾患については、特徴的な症状などを一通り把握しておくほうがよいでしょう。
また内服している薬の効能や副作用についても、知らないものについてはすぐ調べる習慣も大切です。
利用者の大半を占める高齢者の身体の特徴についても熟知していなければ、異常時に素早く対応することができません。
高齢者の場合は典型的な症状が出にくいため、発見が遅れてしまうことがよくあります。
例えば誤嚥をしても咳き込みがなかったり熱が出ないために、肺炎が重症化するなどです。
また高齢になればなるほど認知症を合併しているため、認知症の理解と対応方法などの知識も必要です。
不適切な対応によっては不穏を引き起こしたり、増強してしまうこともあります。
また不穏を抑えるために用いた向精神薬によって、余計に悪化してしまうケースもあります。
利用者の疾患や内服薬による影響なども理解しておいて損はありません。
老健に必要とされる看護スキルとしては、フィジカルアセスメントや採血、導尿、吸引、尿留置カテーテル、経管栄養などのほかに、褥瘡の処置やポジショニングなどがあります。
病院と違ってこれらのスキルが頻回に必要となるわけではありませんが、たまに遭遇した時でも確実に行えるような技術は必要です。
また急に心停止となった時に使用するAEDの扱い方も熟知しておく必要があります。
夜勤では医師が不在ですので、看護師が急変や異常時には的確に判断をして対応しなければなりません。
いざという時に慌てないためにも、一般的な急変症状やそれへの対応方法などは一通りマスターしておくべきでしょう。
病院と大きく異なる点は介護士と協力して働くことが多いことです。
そのためお互いの専門性を認め合い、同じ目標に向かって成果を出すためにはコミュニケーションが最も大事です。
日頃から相手の考えを尊重した態度やコミュニケーションを取ることで、より良い信頼関係を築くことができ仕事へも反映されていくはずです。