脳神経疾患の解剖生理や病態を踏まえた上で、それぞれの疾患に伴う様々な症状について正確に把握し医師に伝えることが看護師の重要な役目です。
意識障害や麻痺、頭痛、めまい、しびれなど症状の部位や程度をアセスメントし、必要なニーズに対してケアを実施していきます。
特に広範囲な麻痺がある患者さんは日常生活の動作に支障を来しているために、清潔保持や排泄など生活全般にケアが必要となります。
医師の指示の下での治療や検査の補助を行っていきますが、同時に異常の早期発見と合併症や二次障害の予防も常に予測して実施しなければなりません。
例えば誤嚥性肺炎の予防として口腔ケアを行ったり、関節の拘縮を予防するための体位の工夫など、患者さんに必要なケアを積極的に実践していきます。
それにより原疾患の治療やリハビリがスムーズに進み、入院期間の遅延を防ぐことにもなるのです。
突然の発症と障害により、多くの患者さんは不安や悲嘆、怒り、抑うつといった感情が現れますが、次第にその状況に適応しようとします。
これをコーピングと言いますが人によっては適応できなかったり、時間がかかったり不安定な場合があります。
看護師はこのような心理状態を受け止め、情緒的安寧が得られるような関わりや言葉かけが必要となります。
脳神経内科では点滴による薬物療法が主となります。
重症な脳出血の場合、収縮期血圧が200台にまで上昇することがあり、体動によってさらに上昇することになれば生命への危険度は高まります。
そのため薬物を輸液ポンプなどで調整しながら注入して血圧の管理を行う必要があります。
またギランバレー症候群のように免疫グロブリンを大量に注入する治療法も行われるため、薬物の副作用についての十分な理解と点滴速度の定期的なチェックなど、患者さんの状態を常に観察することが重要です。
患者さんの治療過程において、医師以外にもリハビリスタッフや栄養士、看護助手など他の職種との連携は欠かせません。
患者さんとの接触時間の多い看護師は必要なニーズをいち早く知ることができるため、様々な部門へ積極的に働きかけていく役割を担っていると言えます。