働き方を考える・キャリアの積み上げ方

訪問看護師として働く

少子高齢化に伴う医療費削減のため、療養の場が病院から在宅へと移行される動きが広まってきました。平均在院日数は、一般病床では半月程度と短縮されてきており、今後もさらなる短縮が予想されます。

このような現状の中で、訪問看護師のニーズが高まってきています。

訪問看護師は、訪問看護ステーションに勤務し、1日に4~6件程度の在宅療養者の自宅を訪問し、看護業務を行います。病棟看護師が不足していることが問題視されている今、訪問看護師はそれ以上に数が足りていないという現状です。

訪問看護師は、ほとんどの場合において夜勤がないため、育児中の看護師や夜勤を希望しない看護師に最適な職場だと言われています。

本来、訪問看護師は臨床経験のある看護師の採用が優遇されていました。具体的には、臨床経験が3年以上あることが、訪問看護師として働くことの条件だと言われています。

しかし、看護師不足の今、新卒看護師の対しての教育を整備し、積極的に受け入れを行うステーションも増加してきています。中には、地域の総合病院と提携し、病院勤務と訪問看護ステーション勤務を半々で継続できるような体制を整えているところもあります。

在宅看護が看護師の新カリキュラムに取り入れられてから5年が経過し、新卒でも在宅看護に興味を持つ看護師が増えてきました。この意欲を大切にし、新人を育てていくことも、訪問看護ステーションの大切な役割です。

一件の訪問に対して、通常は看護師一人が訪問し、医師による訪問看護指示書に沿って看護行為を行います。そのため、出来るだけ臨床経験があったほうが、療養者さんの異常にも気付くことが出来ると言われているのです。

療養者さんの疾患は幅広いですが、ALS等の神経疾患や、筋ジストロフィーのある方も多いため、年齢層もバラバラです。高齢者では、脳血管疾患による後遺症があり、リハビリやADL維持の目的で訪問看護を利用している場合が多いようです。人によっては、排便コントロールだけを目的として訪問看護を利用している方もいます。

訪問時間は通常1時間程度であることが多いようですが、指示の内容を実施するには時間が不足する場合も多く、実際は指定時間をオーバーすることも少なくありません。

在宅療養者の年齢は乳幼児から高齢者まで幅広く、疾患も様々です。また、病院のように物品が充実していないことも多いため、臨機応変な対応が必要になってきます。

しかし、在宅で療養者とその家族に必要とされる喜びは、訪問看護師として働くことの最大のやりがいかもしれません。

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