年度末になって各地の公的医療機関、とりわけ中核病院での病棟休止や閉鎖が相次いていますが、地方によっては医療崩壊と言っても差し支えない状況です。
これは来年度の病床削減の届出の期限が今月の17日であったため、そのようなニュース報道が多く出ました。
背景には赤字経営とともに、看護師や医師の退職による人員不足も影響している事は言わずもがなです。
人員不足の対処は採用増と退職の防止(強引な引き留めなどの阻止ではない)の処遇改善と労働環境の改善ですが、そのあたりに関して、熱心に取り組むところは多くはない印象です。
その代わりに行っているのが、「箱」を小さくして、少ない人員で充足率を高める方策では?と感じます。
医療機関の収入の原資は健康保険なのはご存知の通りですが、通常は物価変動にスライドさせる目的もあって、点数制になっています。
1点あたり10円となっているものが、必要に応じて11円や12円に変更できる制度設計です。
ところがそれを政府が行わないために全国の公的医療機関が
稼働率を上げれば上げる程、赤字に陥る事になっています。
そうなると職員の処遇改善は望めず、職場を去る事につながります。
ところが、政府はあえてそれをやっているフシがあって、病床削減で200床未満にすれば、補助金を出すという事までしているのです。
そうでなくとも病床削減に対しても、医療再編という事で歓迎してもいます。
まるでコメの減反政策のような事を医療で行う形です。
政府としては医療費を削減したい立場なので、病床が減ってくれればありがたいところに、医療機関自ら減らしていってくれればなおさらです。
まるでコロナ禍のような有事を忘れたかのような愚行ですが、これに対して病院協会などからの反発がないのは不思議ではあります。
この先、同じような有事が起こらない保証はどこにもなあのに、どうするつもりなのでしょうか。